いつあの世に召されるかもわからないこの歳になって、いざと言う時子供たちに迷惑がかからないように数年前から終活として断捨離を始めている。
今は納戸となっている書斎として使っていた小さな部屋に篭り、詰め込んであるガラクタの一つ一つのホコリを払いながら確認していると、昔の懐かしい思い出の品が見つかって片付けの手が止まってしまうこともしばしば。
この世に出始めた頃の古いデジカメ、音が出るかどうかも分からないダイヤルが幾つも付いたオールウェーブ・トランジスターラジオ、海外業務で悪戦苦闘していた頃の英文タイプ、 壊れてそのうち治そうと仕舞っておいたステレオアンプ、 夜空の星に憧れて手に入れたのに使わず仕舞いの自動追尾型天体望遠鏡、 大小様々な釣竿やリール、世代交代で使わなくなったPC部品や周辺機器等、どれも思い出が染み込んでいるので捨てきれずに取っておいた物ばかり。
そんな折、大きな紙袋に詰まった何十冊もの古ぼけた手帳が見つかった!
その殆どは会社に勤めていた時代のもの、めくってみても走り書きのメモや計算数字のような物ばかり、残業徹夜に明け暮れた当時の試作・設計・物づくりに関する悪戦苦闘の記録は無かったが、学生時代から始めた山登りの山日記が数冊見つかって大感激。
早速読んでみたのだが、変色してかすれた悪筆の小さな文字を読むのに一苦労。
そう言えば三十年位前、字が汚いのを苦にしていたところにワープロがこの世に出現して救われた気がし、すぐさま飛びついた事を思い出した。
それはともかく、網膜剥離後の視力低下で物が良く見え難いにもかかわらず、 ハズキルーペを掛け夢中になってその山の記録の判読に取り組んでいるうちに、忘れていた当時の一緒に苦労して登った山友のことや独りで登った山のことが熱く蘇えり、こんな青春時代があったのだ!・・と、懐かしさがこみ上げて来たのだった。