2015年3月7日土曜日

思いでのベビーパール

生まれて初めて手にしたカメラは六十数年前、中学生の時におやじから貰った古ぼけたベビーパールだった。 

当時、村の遊び仲間でカメラを持っている者などどこにも居なかったので、蛇腹式の 古ぼけたクラッシックカメラでもほんとに嬉しかった。
でも、当時はおこずかいも殆どなく、ベスト版のロールフィルムを買うこともままならなかった。
たまにフイルムが手に入った時は家族や友達の写真を撮るのが楽しくて楽しくてたまらなっかた。

たまたま狭い押し入れの中でおやじが趣味の写真を現像しているのを一緒に中に入って見 てたりしてたので、おやじ自作の現像装置を借りて見よう見まねで現像するのも楽しかった。

あのカメラはどうしたかなあ~?・・・と、何度も引っ越しをしているうちに何処に行ってしまったか分からなくなっていたあのカメラ、懐かしく思い出すこともしばしばで、も一度手に取って見たいなあ・・・と言う思いがこれまで消えずに残っていた。

あのカメラは未だどこかに存在すのかなあ~?・・・と、「ベビーパール」というキーワードでネット検索してみると、なんと真珠を紹介するサイトがぞろぞろ出てきてびっくり。 
そう言えばそうだよなあ~、パールだから当たり前か!・・・と更に眺めていたら、そんな中にようやく何種類かのカメラを見つけることが出来た。
見比べてみると、当時おやじからもらったのは「六櫻社」と言う会社の「ベビーパール」と分かった。

今度は「六櫻社」というキーワードを追加して検索したら、ヤオフクのオークションに出品された物が4-5点出てきたが、価格が1000円程度の錆だらけのジャンク物や、1万円を越える値が付いたかなり剥げちょろけな物等、あまり上等と言えないものがどれも既に落札されて終了していた。 
この程度の物がこんな値段で売買されてるとは!・・・と驚いたが、思い出の品には程遠い物ばかり。 確かにあのカメラはもう70年位も前の物、まともな姿で残っている方が不思議と言うものだろう。

他に参考になるものがないかなあ・・・と再度キーワードを入れて検索した時、前回とは違うカメラが出て来た。 「六櫻社」と入れる所を「六桜社」と間違って検索したことによる違いらしい。
それはともかく、今回見つかった商品の写真を見る限り、随分綺麗なカメラのようだった。
 応札時間は残り2時間、設定価格は5800円で今の所応札者はゼロとあって思わず目を見張ってしまった。

  あちこち錆が在ったり、蛇腹の皮がひび割れていて穴が空かないように用心深く扱っていたおやじから貰ったカメラに比べてもかなりましな状態、1万円を越える物に比べても状態は数段良好のように見えた。

これはどうしても手に入れたい!・・と、矢も盾もたまらなくなって早速応札してしまったところ、 他には誰も応札する者なく簡単に落札! 
他に応札者がいないということに一抹の不安はあったが、カメラが届くのをわくわくしながら待っていた。

そして今日の夕方、それが届いた! 
ドキドキしながら開梱すると、現われたカメラは期待に違わず状態がすこぶる良好!
  これだ! 懐かしい! 何度もカメラをなで回した。 これがカメラ好きになった原点なのだ!・・・となんとも感慨深い! 

もう今ではベスト版フィルムを手に入れるのは簡単ではない。 思い出の品として身近に置いて大切にしたと思う。